Strange Days Blog～無名ギタリストの日常

車の中ってのはある意味「密室」でございますな。
恋人同士ならアレとかナニとか様々なエピソードをお持ちの貴兄もいらっしゃるでしょう。

さて、これが「一人」となるとこれがまた幅広く使えるってもんです。
ゴミ箱代わりにリアシートを使ったりとか、
それこそ家が無くなって車に住んじゃったりしている木村一八人だとか、
さまざまな幅広い用途が思い浮かびますが・・・・・・

我々、音楽人としては貴重な「練習場所」になったりもします。
にぎやかな国道沿いに車を止めれば、管楽器を吹き鳴らそうが
ドラムロールを華々しく叩きまくろうが、イアン・ギランばりのシャウトを決めようが
ブードゥーの呪いを唱えようが、そうそう文句言われるもんではござんせん。

さて、今日はアタクシに実際起こりました「密室の中の事件」のお話を致しましょう。

時は今から15年前にさかのぼります・・・・・・・・・・・・・・

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当時、アタクシは「ガソリンスタンド」という所で正社員をやっておりました。
今でもそのスタンドは、大阪の靫公園の近くに存在しておりますが
当時は「○○灯油、だもんねっ♪」という人をナメたCMで有名でした。
現在は某財閥系の石油会社と合併いたしまして、別の名前になっております。

そのガソリンスタンド（以下、GS）の前は一方通行になっておりまして、
GS内の車の流れは常に一定でした。


こんな感じです。
給油ポイントは全部で5つ。
そんなに大きいGSではなかったのですが、オフィス街という事もあり
お客様の実に9割が掛け売りで、めったに現金給油はなく
朝から夜まで実に忙しいGSだったのです。

営業さんが「ウチで契約してくれたら洗車ダータにしますんで～」というトークで
顧客を取ってくればもうそれでジ・エンド。
年末なんぞ実にその会社の車、30台が一気に洗車にやってくるという地獄絵図。
しかも、その会社だけではないから始末が悪い。

事件はそんな年末のある日に起こりました・・・・・・・・・・・・

ワタクシはこの頃、もう入社して二年目。
一度、年末洗車地獄を経験し、GWやお盆の「サービスエリアGS出張地獄」も経験し、
夏に行われる「比叡山での山ごもり研修」も二度経験して、いっぱしの「給油戦士」になっていました。

GSに付けてある有線放送のスピーカー端子を勝手にいじくって
持ち込んだCDプレーヤーを勝手につなぐという暴挙（当時からこんな事していた）を働き
好きな曲を聴きながら気ままに仕事をしておったのです。

さて、朝からオニのような給油＆洗車ラッシュ。
現金で飛び込みで給油に訪れ「ちょっとおいといてー」と去っていこうとする客には
「おい！おっさんおっさん！！置いてかれたら困んねん！」と所長みずから暴言を吐く殺伐とした風景。
もはやサービス業のなんたるか、を語るヒマもない。
「お客様は神様です」なんていう三波春男センセイの言葉なんぞ忘却の彼方。
「自分以外は全て敵だと思え」というランボーな世界感が構築されておるのです、年末は。


最悪、こんな状態です。
車、車、車、車三つで轟でっす！なんて言ってる場合じゃないような車の数。
この収容台数なのに、洗車待ちがヘタすると40台にも達する年末！
もちろん、スタンド周辺の道路も「にわか駐車場」と化す！
警察が駐車禁止取り締まりなんぞこようもんなら、警察に逆ギレ！！
「空気読めや( ﾟДﾟ)ｺﾞﾙｧ!!!　年末やぞオラ、エー！！」
こんな事言えるのはもはや蝶野ぐらいしかいません。

事件が起こったのは昼頃だった（はず）


上図で「赤色で示した車」に給油を終えたアタクシは、この車が出て行くのを待っていました。
この赤い車の後ろの二台はすでに給油を終えて、あとはGSを出るだけです。
手前の給油ポイントにも車が止まっているために、この赤い車が出ないと
どうしようもない状態なのです。

しかし、この車は動かない。
イライライラ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
後ろからはクラクションが・・・・・・・・・・・・・

「どこ行ってんオッサン！」と口の中でつぶやきながら、休憩室を見ると・・・・
その赤い車の持ち主は「電話中」なのでした。（当時は携帯なんてなかったのよね）

その瞬間、GS内を流れるBGMにある曲が！

「ダダダダーッダッダッ・・・・・・・・・」激しいドラムイントロが！

レッド・ツェッペリンの「Rock'n'Roll」である。

募るイライラとこの煽る様なドラム！！
一気にアタクシ、テンションマキシマムです。
流れる血を熱くする原始のビート！
そうだ、これこそが「ロックンロール」なのだ！！！

GS内を駆け出す。
どうにかしてこの状況をさばかなければならない！
後輩も見ている！
この「赤い車」をどこかに移動させれば、この状況を打破できるのだ！

この「赤い車」に颯爽と飛び乗って車を発進させる。


そして車をこう下げれば全て解決するはずなのだ！


ボンゾのドラムが血を熱くさせる。
ジョンのベースが足を動かす。
ジミーのギターソロが鳴り響く。

そうか、オレは今ロバート・プラントなのだ。
この地球の上でこの時間、唯一ロバートと同化しうる男は今のオレしかいないのだ。

「イエーーーーエエーーーイ、イエーーイ！イエーーーーエエーーーイ、イエーーイ！」

腹の奥底から知らぬ間に熱いシャウトがこみ上げてくる。
渾身の叫びが赤い車内に鳴り響く！
ボルテージは最高潮だ。
そうだ、ボクは、今、生きている。

「スピリンロンターイム、スピリンロンターイム、スピリロン・・・・」

もはやジャマするモノはナニもない。
この状況を打破できるのは今、オレだけなのだ。
アクセルを戻して、ギアをバックギアに入れる。
振り向いて、後は後方の視界を確認して車を下げればいい。


振り向きざまに


「ローンリローンリローンリローンリ・・・・・・！？」




振り向いたその後部座席には













書類を抱えたおねーさんがいました。









そして







別の意味でロンリーになったアタクシがいました。





おねーさん、そんなものすごいモノを見るような目で見ないで下さい。
すこしテンションあがっただけなんです。





たった数メートル車を下げるだけの時間が永遠に感じられました。




今でもこの曲聞くと、これがトラウマとして蘇って来ます。
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とまあ、こういうサミシーお話でございますな。
皆さんもテンション上がりすぎにはぜひご注意して頂きたいもんです。

「シラフだろうが酔ってようが恥は恥」

お後がよろしいようで・・・・・・・・・


■オススメのBGM
「レッド・ツェッペリンⅣ」

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