ずっと前から気にはなってたこの「ゆきゆきて、神軍」。
でも何故か見ることはなかったわけですが、今回奥崎氏死去の報を聞いて
見てみようと思いました。
奥崎氏は太平洋戦争中、最も戦死者が多かったニューギニア前線に配属され
マラリア、飢え、連合軍や原住民の包囲などから命からがら帰国しました。
その後、不動産業者を殺害して入獄。
すべての戦争責任は昭和天皇にあるとし、1969年の新年一般参賀にて
昭和天皇に向けて手製のパチンコ玉を発射しまたもや入獄。
その後、自費出版にて著書を発行。その宣伝ビラとして天皇家のコラージュポルノビラを
東京のデパートからばらまきまたもや入獄。
この映画は彼の行動を追ったドキュメンタリーで、
当時の部隊の上官が終戦後23日経ってから部下を殺害してその人肉を食べた、という事を
戦後30年以上たってから同じ部隊の生き残りを全国訪ねて回って
真相を突き止めていくという物。
「知らない」「話したくない」という人には容赦なく殴りかかり
自分の信念のみをふりまく奥崎氏の姿には賛同できないですが
こういう行動を起こしてしまう引き金となった「戦争」という物の恐ろしさを感じます。
そりゃあ中には忘れたい人だっているだろうしなあ。
しかし奥崎氏の「カメラを意識した行動」もかなり画面では見てとれるので
もしかしたらシナリオがあったのかも知れない。
見てみた感想としては「狂気」。その一言に尽きます。
なわけで諸手を挙げてこの映画を「カッコイイ」と賛美する気は毛頭ありませんが
当時の前線で語られていた言葉がとても人間の吐くセリフとは思えず寒気がします。
白ブタ=白人(連合軍の事だと思う)
黒ブタ=ニューギニアの原住民
「白ブタは食べてはダメだが黒ブタは食べてもかまわない」
こういう状況を生み出す「戦争」というものの恐ろしさを感じずにはいられません。
そして奥崎氏は当時の中隊長の息子に発砲して負傷させてまたも入獄。
「(殺すのは)息子でもかまわなかった」という奥崎氏のコメントには戦慄を覚えました。
入獄の三年後に奥さんのシズミさんが死去する所で映画は終わります。
どんなに反戦、反核と言ってみた所で事実にまさる物はない。
「戦争と言うものが生み出す後遺症」に興味がある人は必見だと思います。
最後に、奥崎氏の冥福を心からお祈り致します。
参考にしたブログ:
言語学研究室日誌
☆漫画家牧村しのぶのBlog☆
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事前に、どこへ行って何をするかの打ち合わせはありました
奥崎はもっと色々過激な行動を取ろうとしていたのですが
無駄な寄り道をさせずに戦争にテーマを絞って撮影したのは
原監督の功績です
一度は奥崎と物別れになり、途中であきらめかけたそうです
原監督に「先生と呼べ」と言う奥崎・・・言わなかった監督
苦労は並大抵ではなかったようです
現代教養文庫「ドキュメントゆきゆきて、神軍」に撮影秘話が
収録されています
丁寧なレビューを書いてくださってありがとうございます
観てくれる人が増えるといいと思います
コメントありがとうございます。
そんな裏話が書かれた書籍があるんですねえ。
ちょっと気になるので読んでみたいです。
大阪的にくだけた言い方をすると
「かなん(しょうがない)オッサンやのう」
って感じでずっと見てました。
確かに原監督も大変だったと思いますねえ
奥崎氏と行動するのは。
あ、それとBLOG読ませて頂きました。
非常に興味ある内容がいっぱいだったので
お気に入りに入れさせて頂きますね。