「ちっと早めに出てラーメンでも食うかな」
衣装、エフェクトをスーツケースに詰めて家を出た。
少しばかり夕立が降ったせいで蒸し暑さが増している。
傾きかけている陽の光を見ながらスーツケースを引っ張って歩く。
まだ買ってから日が浅く使い慣れていないために足に当たって歩きづらい。
「そういえばそろそろ弦張り替えないとあかんなあ。後でやっちまうかあ」
改札を抜けてホームへ。
スーツケースを引きずりながら喫煙コーナーまで歩く。
もうすぐこの街ともお別れだ。
通過していく急行列車が心地いい風を吹かせてくれる。
「さて、今日はどんな曲やろっかな」
頭の中でギターコードのフォームを確認する。
いつもとVoが違うので今日はかなりキーが変わるだろう。
頭の中でポジションを確認しながらタバコをふかす。
普通電車がホームに滑り込んできた。
あわててタバコを灰皿に投げ捨てて電車の方へ走る。
夕方の通勤ラッシュが近いせいか電車の中は乗客が少し多い。
マナーモードにし忘れてた携帯電話が鳴り響く。
この着信メロディはAkiraアニキ。
「颯爽たるシャア」のあまりにも緊迫感あふれるメロディと
乗客の冷たい視線がすこし小声にさせる。
「もしもし?」
「あ、今日な、いきなり営業なくなってん」
「・・・・・え?どういうことですか?」
「なんか雨漏りかなんかで電気系統が全てやられてるらしいねん」
「えーーーマジっすか?」
「すまんけどすぐに家に戻って告知してくれんかな?」
「わかりました」
てなわけでいきなりのライブ中止。
せっかく気合い入れて家でてきたのになああああああああああ。
ラブホ入って、さあこれから!って時に「きちゃった」と言われるぐらいの
失望感に襲われながらすぐに家に戻った。
ああ、今頃はラストステージで大汗かきまくってる頃なのに・・・・・
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